憧れのLFAやGT-R、NSXを生産ラインに作りたい!働く方法を解説


 

憧れのLFAやGT-R、NSXの生産ラインに携わりたい!働く方法を解説
自動車の生産ラインで働くというと、一般的な期間工がイメージされます。しかしこういった生産ラインですべての車が作られているわけではありません。一部の人気車、高級車は違うラインで製造していることがあるのです。

例えばトヨタが誇る高級ブランド「レクサス」のLFA、日産GT-R、ホンダのNSXなどの車は特別な生産システムで製造されていました。ここではそういった特別な生産ラインで働く方法をそれぞれの車を例にとってみながら説明していきたいと思います。




1.トヨタ LFX

トヨタ LFX
トヨタの高級ブランド「レクサス」で新たに開発されたプレミアムスポーツ「F」シリーズは2007年に「IS F」から始まりました。コンセプトは「世界超一級レベルの運動性能と超一流の感性と官能を持ち合わせるスーパースポーツカー」というもので、その最高峰として「LFX」が開発されました。

2010年12月~2012年12月までの約25か月の間に、ほぼすべての工程で高い技術を持った職人の手作業工程によって一日に1台というペースで製造され、限定500台販売された完全二人乗りのスーパーカーです。

その性能とデザインに対してはまさに妥協のない開発となり、莫大な開発費が投入されました。そのために販売価格3750万円という高額にもかかわらずトータルで赤字になったという伝説までついています。ただ、ここで蓄えられたデザイン、性能、素材に関する知識はその後のレクサスに対して大きな与えており、製造終了から5年以上経った今でもトヨタ、レクサス公式ホームページにおいて、「レクサスFシリーズ」のトップに位置付けされています。

今は製造していないんだね。なんか残念だなぁ
でも製造していた時の工程資料は残っているよ
それは気になるなぁ。ぜひ見てみたいよ
じゃあ、どういったものだったのかを説明しようかね

LFAはトヨタ自動車の元町工場の中に専門の「LFA工房」が設置されて、そこで製造されました。これはLFAは全世界で500台のみの限定生産の「特殊構造車両」であったために、他の一般車と同じ製造ラインで製造することができなかったためです。また、携わる人も厳しい訓練を受けた専任者に限られました。チーフエンジニアは「棚橋晴彦」氏で、選ばれたスタッフは本気で高性能を追求するプロのみでした。

LFAの最大の特徴は「車体素材」と「エンジン」の二点です。エンジンは専用設計の「V10エンジン」で、1台につき1人の担当のエンジニアがついて、手作業で組み立てていきます。そして組み立て終わるとエンジンの左シリンダーヘッド部分にそのエンジニアの名前が刻印されます。これはそのエンジニアが魂を込めて製造したという証なのです。

そしてもう一つのこだわりが車体の素材です。「頑丈さ」「柔軟さ」「軽量化」を限界まで突き詰め、たどりついたのがCFRP(カーボン・ファイバー・リィンフォースド・プラスティック)というものでした。これを全体の65%使用し、残りの35%がアルミ材です。

このCFRPはカーボンシート材を職人が一枚一枚手作業で貼り付けていくという、ありえないほど手間と時間がかかる作業です。そのために一般車の約四分の一という軽量化に成功するだけでなく、ねじり衝突時の耐性が一般車の約10倍という驚異の強度を手に入れたのです。実際車両価格のほとんどがこれに関する原材料費と手間賃と言われるほどとなっています。

さらに強力なエンジンによる高熱化はパワーを落としてしまうだけでなく故障の原因にもなります。そこでLFXでは、徹底した温度管理にこだわりました。「大型ツインラジエーター」と「送水ポンプ」でまずエンジン部分の冷却を行います。さらに大型エアダクトでブレーキ部分を冷却します。さらにVバンク水タンク内には大型のオイルクーラーが設置され、潤滑油の冷却を行います。こうして熱管理を行うことで性能の低下を防いでいるのです。

そこまでこだわって1台ずつ生産されたLFXは綿密な性能検査が行われ、それに合格すると500台限定生産であることを示すシリアルNOがプレートに刻印されます。これによってLFXの希少性が決定的になるのです。




2.日産 GT-R

日産 GT-R
日産が誇るスポーツカーのトップと言えば「GT-R」です。「最高出力570馬力」「最大トルク65.0kg-m」「最高速度300km/h」を誇る怪物クラスのスポーツカーです。しかし、この車は単純に速い、というだけではありません。むしろ日常での運転時にこそ、この高級車の基本性能の高さを実感することになるのです。そのこだわりの性能とそれを支える「車体組み立て」「エンジン製造」の二本柱を順番に紹介していきたいと思います。

まず車の心臓部分にあたるエンジンですが、フロントに搭載されているのはGT-R専用の「VR38DETT型エンジン」です。これは日産創業の地と言われる横浜にある日産自動車横浜工場の一角で製造されています。この横浜工場では「セレナ」や「ブルーバード」などに搭載される「MR型」のエンジンが主に製造されています。これは年間20万台もの製造数を誇っています。

しかし、GT-Rに搭載されるVR38DETT型エンジンはこの一般的なエンジンの製造ラインとは違っています。なんとこのエンジンは横浜工場内にある専用のクリーンルームで製造されているのです。

一般的な学校の教室くらいの敷地面積で、そこでエンジン製造に携わることが許されるのはまさに選び抜かれた熟練者ばかりです。エンジン組み立てが許されたものだけが背中部分に「R」の文字が入っている帯電防止ジャケットを着ることが許されるのです。

このクリーンルームは床部分にも帯電防止加工がされており、部屋内は一定の温度と湿度が保たれています。そこに専用のシリンダーなどの部品が持ち込まれて組み立てられていくのです。その組み立てに関しても誰もが流れ作業のように行うわけではありません。選ばれた「4、5人の熟練者」が1人1台を責任を持って仕上げまで組み立てるという方式を採用してます。

そのために製造ペースを急激に上げることはできず、また一定の品質を保持するために組立員を増員するということも行っていません。これだけの熟練者が重要な部分はすべて手作業で組み立て、その上で高精度電動締付工具による締付管理システムによって完全にミスを無くしているのです。また、この段階で組立員は自らの目と耳によって不具合がないかどうかのチェックも行います。

そして組み立てられたエンジンですが、まだこの工場を出ることはありません。ここから「全台の完全負荷性能試験」が行われます。性能試験というと数台のうちから1台を抜き取って行うことが多いのですが、「全台」行うというのは世界的に見ても非常に珍しい部類に入ります。

すべてのエンジンにオイルが入れられ、30分の慣らし運転からフルスロットル状態、回転数、音、振動、などが厳しくチェックされます。これに合格したものだけがこの工場から出荷されるのです。

 
エンジンだけでも、ものすごいこだわりだね
まさに車の心臓部分だからね。そりゃこだわるさ
車体の組み立ては違う場所で行われるんだね
そうだよ。車体は栃木工場で組み立てられるのさ。そちらを紹介しようか

日産の栃木工場は約293万㎡という国内で最大規模の工場となっており、年間で約25万台を製造できるようになっています。工場の敷地内には大規模なテストコースまで設置されているまさに日産の中心生産拠点なのです。「フーガ」「スカイライン」「フェアレディ」などの日産が誇る高級車やスポーツカーを中心に製造しており、「GT-R」もここで製造されています。

車の工場というと車体が重かったり、取り付け器具が強力なものでなければいけないということもあってほとんどが機械化されているイメージがありますが、GT-Rはその組み立て工程の多くの部分にベテラン作業員の手作業が入るため、それほど多く生産はしていません。だいたい1日に数台ほどで、多い時でも10数台ほどとなっています。

これは他のフェアレディやスカイラインが100~200台ほど生産されていることと比べるとかなり少ないと言えるでしょう。それだけ手間がかかっているのです。GT-Rはスピードだけでなく「乗り心地の良さ」も一流と言われています。

普段使うことが多いノーマルモードでもスポーツカーとしては驚異の乗り心地を実現していますが、高速道路などで使用するコンフォートモードにすると、ギアチェンジの音は間違いなくしているのですが、不快に感じるような音ではなく、しかも振動はほとんどありません。ハンドルの操作性からリアシートのクッション性と相まって快適なドライブを行うことができるのです。

その性能はまさに栃木工場でのそれぞれの部品をベテラン作業員たちが手作業で繊細に組み立てていることによって支えられているのです。この製造には入ったばかりの素人期間工が配置されることはありません。ある程度の経験があって、その技術が認められている作業員のみが携わることが許されるのです。GT-Rはエンジンの製造から車体の組み立てまで一貫して「熟練者」によって行われているのです。




3.ホンダ NSX

ホンダ NSX
NSXは平成2年に国産の本格派スポーツカーとして人気になった初代から平成17年まで製造されていました。しかし2015年(平成27年)に第44回東京モーターショーにおいて、NSXコンセプトの完全モデルチェンジが行われた新車が展示され、専用の工場を新築して生産体制に入ることを公表したのです。

この専用の新工場はホンダのアメリカ、オハイオ州における3つめの生産拠点となり、新型NSXの開発を行っているオハイオセンターの近くで、大型生産工場であるメアリズビル工場に隣接する所に日本円で約70億円をかけて建設されました。その名前を「PMC(パフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター)」といいます。

メアリズビル工場では大規模に生産ラインが組まれており、「アコード」などに人気大衆車は1日に約1000台という生産力を誇っています。しかし新しくできたこの新型NSX専用工場では1日に最大8台という少なさです。これでも当初の製造予定では1日に4台という生産ペースであったために倍増していることになります。

これは国内での受注が早い段階で日本への割り当て分の約2年分にあたる台数の予約が入ったことなどが関係しています。それでも工場内は大型の生産ラインがあるわけではなく、白を基調としたゆとりのある空間となっています。

えらく生産台数が少ないんだね
1台が2370万円という高級車だからね。それだけ手がかかっているのさ
ということは多くの人が関わっているということなのかな?
その通りだね。そのあたりと車の性能を紹介しようか

そしてここで働いているのは、すでにあったオハイオ工場から技術力に定評のあるベテラン作業員を100人選抜して移動してきた人たちです。溶接や塗装といった部分は大型の機械によって行われますが、このベテラン作業員たちが重要な組み立て部分などをほぼ手作業で行うために、その機能性や操作性などの性能が高く保たれているのです。

新型NSXは、その高いデザイン性と、軽量化を追求した車体、そして直噴 VTEC V型6気筒エンジンを馬力だけではなく燃費性能までを意識した配置であるミッドシップレイアウトが採用されています。これによってホンダが全世界に「新しい価値」を提案すると言われた低燃費、高性能、高出力を実現した「SPORT HYBRID Super Handling – All Wheel Drive」と呼ばれるハイブリッドシステムを搭載した近未来型スーパースポーツカーとなっているのです。

このシステムは高い効率性を誇るモーターを内蔵したデュアル・クラッチ・トランスミッションとエンジンとを組み合わせて、左右の前輪を独立した2つのモーターで駆動するという四輪駆動システムによって成り立っています。

日本では全国のHonda Carsのうちの133店舗に認定サービスエンジニアを在籍させて、NSXに対するケアシステムを構築していることで、顧客に安心感を与えています。

4.まとめ

トヨタの「LFA」、日産の「GT-R」、ホンダの「NSX」という3台の高級車を見てきました。現在生産していない、海外に生産拠点があるなどそれぞれに大きな違いはありましたが、それでも共通していることはありました。そのどれもが「熟練した技術者」の手が多く入っているということです。こういった高級車の生産に携わっていくには、単にやりたいという希望だけでは不可能なのです。

しっかりとした経験を積み、周囲の人にその技量が認められなければならないのです。もしこういった高級車の生産ラインに携わりたいと考えるのであれば、いきなりを望むのではなく、確実に自分の知識や技量を向上させることが必要であると覚えておきましょう。